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割増賃金単価の正しい計算方法と注意点!

割増賃金単価の正しい計算方法と注意点!

投稿日: 2025/12/09

割増賃金単価の正しい計算方法と注意点!

残業代の計算は、企業にとってミスが許されない重要な業務です。特に中小企業では、計算方法が複雑なため誤りが生じやすく、未払い残業代のリスクにつながることもあります。今回は、割増賃金単価の基本から最新の改正内容まで、実務で押さえておきたいポイントを分かりやすく整理しました。

割増賃金とは、法定労働時間を超える時間外労働や法定休日労働、深夜労働に対して通常より高い賃金を支払う制度です。労働基準法では時間外労働は25%以上、深夜労働は25%以上、法定休日労働は35%以上の割増率が定められています。この割増賃金を正しく計算するためには、まず1時間当たりの賃金単価を求める必要があります。月給制の場合は、基本給と割増賃金の基礎に含める手当の合計を月平均所定労働時間で割って算出します。例えば月給30万円で月160時間働く場合、1時間の基礎賃金は約1,875円となり、時間外の25%割増を加えると1時間当たりの残業代は2,344円となります。

ただし、全ての手当が基礎に含まれるわけではありません。家族手当や通勤手当など、個人の事情に基づく手当は割増賃金の基礎から除外できます。一方で役職手当や技能手当など業務に関連する手当は基礎に含める必要があります。特に住宅手当は「全員一律で支給されている場合は基礎に含まれる」など判断が分かれやすいため、自社の支給条件を必ず確認し、誤った計算をしないよう注意が必要です。

さらに近年の法改正にも対応しなければなりません。2023年4月からは中小企業でも、月60時間を超えた時間外労働に対して割増率50%以上が適用されています。深夜帯の60時間超の残業では、深夜割増が加わり75%増しとなるため、計算式が変わる点にも十分注意しましょう。

割増賃金の正確な計算は、従業員との信頼関係を守るだけでなく、企業のリスク回避にもつながります。基本の考え方と最新の制度をしっかり押さえ、適切な給与管理に役立ててください。